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Channel: 住民の幸福度から見る「より幸せになる地方創生とは?」 –政治山
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第7回 働き方が違うと幸福度も違うの?

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 本連載では、PB地方創生幸福度調査検討委員会(事務局 パイプドビッツ パイプド総研)による全国2万人の幸福度調査結果の紹介や、委員会の有識者との対談など、「地方創生」と「幸福度」の関係性を読み解いていきます。

 最終回となる第7回は、「働き方と幸福度」をテーマに、就業者の役割・立場(マネージャと部下)や就業形態(時間労働と裁量労働)別に幸福度や労働時間の違いについて検証していきます。

「働き方改革」と「地方創生」って関係あるの?~「働き方改革」と地方創生~

 安倍晋三首相が最重要課題と位置付けている「働き方改革関連法案」が、今年1月から招集されている第196回国会において議論されています。特に、「働き方改革関連法案」の一つであった「裁量労働制の拡大」に関する法案は、本国会にて激しい議論となり(その後「裁量労働制の拡大」に関する法案は全面削除)、新聞やテレビ等のマスメディアに大きく取り上げられました。

 働き方改革には、テレワークやサテライトオフィス(企業の本拠から離れたオフィスでの遠隔勤務)といった遠隔地における就業も含まれており、地方創生にも大きく関わっています。「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(平成27年12月閣議決定)では、地域の実情に即した働き方改革を推進し、「地域働き方改革支援チーム」が平成28年2月から3回開催されました。

“実質的な”役割・立場と就業形態で分ける4つの働き方 ~労働者の属性区分~

 では、本国会でも注目された裁量労働制と時間労働制によって、労働者の労働時間や幸福度は違うのでしょうか。

 今回は、地方創生の特性よりも働き方に重点を置いておりますが、労働者の働き方について、本調査より幸福度の指標を用いて検討したいと思います。

 ただし、働き方とその効果を分析する際には、部下をマネジメントする立場にある「管理型(マネージャ)」とマネジメントされる立場にある「被管理型(部下)」とでは大きく異なることに留意しなくてはいけません。

 そこで、本調査項目(役割・立場や就業形態)によって、表1に示す4つの“実質的な”属性区分に分けて検討を行います。

表1:業務の役割・立場および雇用形態による“実質的な”属性区分

表1:業務の役割・立場および雇用形態による“実質的な”属性区分

労働時間は全般的に管理型(マネージャ)が長いが、20代女性は被管理型(部下)の労働時間が長い~属性区分×労働時間~

 まずは、4つの“実質的な”属性区分によって、労働時間に違いがあるのかみていきましょう。

 図1には、属性区分別において、男女別・年代別に1週間当たりの平均労働時間を示したものです。

 全般的に被管理型(図1「時間労働」「裁量労働」)よりも管理型(図1「時間労働型×管理型」「管理職」)の労働時間が長く、特に30~50代において男女ともに被管理型と管理型の労働時間に大きな差がみられていますが、20代女性は管理型よりも被管理型の労働時間が長いことが示されています。

 また、同年代の男女の労働時間を比較すると、ほぼすべての年代・属性区分において、女性よりも男性の労働時間が長いことが示されています。

 したがって、単に4つに属性区分を分けた労働時間をみるだけでなく、年代や性別など回答者属性に関してさらに細分化することで年代や性別で違いが出てくることが明らかになりました。

図1:“実質的な”属性区分別労働時間(男女別・年代別)

図1:“実質的な”属性区分別労働時間(男女別・年代別)
※図に示す%は、各属性区分に該当する割合を示しています。

男性の幸福度は全世代で管理型(マネージャ)の方が高い~属性区分×幸福度~

 次に属性区分別に幸福度に違いがあるのかみてみましょう。

 図2では、図1と同様に、属性区分別において、男女別・年代別に幸福度の平均値を算出しています。

 男性(図2上)において、管理型と被管理型を比較すると、管理型の幸福度がすべての世代において高いことが示されています。また、管理型の2つの属性区分(時間労働型×管理型と管理職)を比較すると、40代以下は管理職の幸福度が高いですが、50代以上の幸福度はほとんど変わらないことが示されています。

 一方で、女性(図2下)の幸福度は、男性の幸福度よりも属性区分の間であまり差がありません。女性にとって属性区分の違いは、男性ほど幸福度に大きな影響を与えていないことがうかがえます。

図2:“実質的な”属性区分別幸福度(男女別・年代別)

図2:“実質的な”属性区分別幸福度(男女別・年代別)
※図に示す%は、各属性区分に該当する割合を示しています。

※本調査における幸福度は、1~10点(「とても不幸せ」を1点、「とても幸せ」を10点)のうち、自身に当てはまる数字を1つ選んでいただきました。全回答者の平均値は6.65でした。

 本調査結果より、1週間当たりの労働時間や幸福度は“実質的な”4つの属性区分によって変わっており、年代や性別などの回答者属性によっても違いがあることが明らかになりました。

 「時間労働」から「管理職」に至るまでの自身の中長期キャリアを考えつつ、ステップごとに労働時間や幸福度がどのように変化するのか確認することで、今後のキャリア形成に役立てていただければと思います。

 最後に、当社が事務局を務める「働き方改革研究センター」をご紹介します。「働き方改革研究センター」(センター長:伊藤健二(PB地方創生幸福度調査検討委員会委員長/明治学院大学学長特別補佐(戦略担当))は、働き方改革における様々な命題・施策を体系化し、HRビックデータを活用して、人、組織の生産性・幸福度の最大化に貢献することを目的として発足しました。2018年2月には2.4万人規模の調査を実施しました。

 また、2018年3月1日にはキックオフセミナーを開催しました。セミナーでは、働き方改革の中核を担う厚生労働省の担当者をお迎えし、またリクルートワークス研究所長の大久保幸夫氏にご講演頂き、伊藤センター長から本センターの調査結果の速報を行い、先進的なHR-Techを活かした実証環境を、世界一の集中環境を目指した株式会社ジンズの「Think Lab」にて紹介しました。

 今後、働き方改革を実践・検証される一助となるスクールなどを開催し、現場のマネージャとメンバーの視点で、施策の活用状況だけでなく、労働時間削減やモチベーション、幸福度等への影響まで分析・整理していきます。

 PB地方創生幸福度調査の結果を用いた本連載「住民の幸福度から見る「より幸せになる地方創生とは?」」は、今回が最終になります。これまでに公表した計7回の連載の他に未公表の分析結果もありますので、関心のある方は事務局までお気軽にお問い合わせください。


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